「散策家と歩く水路跡 葛飾区編」レポートその1


東京散歩革命シリーズ「散策家と歩く水路跡 葛飾区編」レポートその1
実施日 2017年11月26日(日)

以前足立区で行った水路跡歩きの葛飾区版として開催しました。今年の散策会はいまひとつ悪天候が多かったですが、幸いこの日は歩きやすい陽気となりました。目的としては、1本を追いかけるのではなく様々なタイプの水路跡(暗渠)を解説・観察しつつ街歩きしていくという、それだけです。

それでは写真レポートをご覧ください(ほぼすべて下見の時(11/24)の写真です)。
写真が多いので3つに分割します。

その1(堀切) その2(宝町・立石) その3(奥戸・青戸)

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スタートは京成線堀切菖蒲園駅。まずは堀切北部地域を一周する。

早速、駅のガード下の水路跡へ。

妙に天井が低く、半端な幅なのが元水路であることを物語る。 ちなみに隣のガードはもっと天井が高い。この手前(赤札堂前)は駅前のシンボルとも言える立派な並木の道で、その歩道が水路敷だ。そちらには行かないのだけど。

ガードの先。まずは典型的な暗渠である、歩道タイプ。車道に対して異様に広い歩道がある場合、水路跡であることが多い。荷重や違法駐車の問題から車両が入れないように車止めがあることがほとんど。

今回は橋やその痕跡は少ないが、ここは橋そのもの。そして、その向こうはなんと家屋。実はこの一角、道路敷+水路敷と思しきところに商店が並んでいる。新築はひとつもない。戦後間もなくの時期に建てられたもののようで、もちろん今では許可が降りないだろう。

水路の上は建物の場合とデッキのようになっている場合とがあり、荒れている。あまり言われないが、東京の中でも堀切はなんだか怪しい木造家屋や合法か微妙な建築が多く、墨田区や品川区にも似た雰囲気があると思う(発達時期の問題でもあるが)。
なお、公有地の占用については警告の掲示でもない限り見た目だけでは合法(何らかの合意済み)かどうかなんとも言えないため、あまりに安易に不法占用などと言うのはよろしくないと思う。

堀切五丁目交差点付近でようやくわずかにコンクリート蓋暗渠となる。ここで平和橋通りを渡る。足立区ほどではないが、今回も蓋暗渠は少なめ。

川の手通りの裏手で歩道暗渠になり、上の写真はさらにその分岐。暗渠路地の典型で、コンクリートの梁の部分だけ地面が盛り上がっている。つまりそのまま埋めたということである。

今回歩く堀切・立石・青戸地域は(珍しいことに)国土調査済みである。よってこの「国土調査」「国調」の境界プレートをよく見かける。国が持っているという意味ではなく、国土調査で設置したと境界点だという意味である。

東に折れて、中ノ郷信用組合の交差点。この裏にも水路跡が続くが、これは今回は追わない。 写真手前を南へ曲がる。

ここも水路跡。普通、暗渠の路地は家屋建築時の敷地の間口としては認められないが、ここは拡張して建築基準法上の道路としているケース。建築基準法道路種別を示した地図は水路跡を探すヒントとしても利用できるため、市区町村サイトにあれば見てみると良いと思う。道路があるのに建築基準法上の道路ではなく、それが続くようなら水路跡である可能性が高い。

葛飾氷川神社の裏手。今回は神社の横が水路跡というケースが大変多い。

葛飾氷川神社。全体に新しい。当日は七五三ということで若干の人出があった。そのおかけで、休店日であったのだが神社横の酒店の方に店内を見せていただけた(お店の方に水路跡を歩いていることをお話したところ、「ドブ道ね。このあたりはそこら中ドブだった」とのこと)。
神社周辺の古い建物は、ここが少々の生活商業地だったことを思わせる。各所に商店群が形成されるのも東京東部によくある特徴だ。

正王寺裏手の暗渠。苔むした地面、長く続く塀がいかにも暗渠ですという雰囲気。お寺の木の感じが好み。暗渠出口付近はゴミ置き場となっていたが、これもよくある。公共用地だから使用しやすいのだ。

駅北側を一周し終えて、南側へ。ここはちょっと調べないとわからないかもしれないが、実は水路の占用部分がある。反対側は金属蓋があるが完全に個人宅に取り込まれている。

堀切菖蒲園への経路となっているこの緑道も水路跡。葛飾区にしては綺麗にしているほうである。東京東部では江戸川区>葛飾区>足立区の順で緑道や親水公園の本気度が伺える。

緑道(歩道)の反対に、1尺幅程度のわずかな水路敷がある。堀切は比較的広い水路敷が多いので、逆にこれは気づきにくい。

奥は蓋なしU字溝だが、行き止まりのようだ。

綾瀬川の土手に出る。ついでなので、堀切菖蒲水門に登ってみた。まっすぐに荒川は渡れないが綾瀬川から真ん中の堤防までは行くことができ、なかなかの見晴らしである。今年は雑草の知識も若干仕入れたので、堤防歩きの散策会もそのうちやってみたいと思う。

折り返して、街路と一体化した水路跡を進むと、左手に妙な空間が。ここも水路跡で、うねっていた部分が切り離されて残ったもののようだ。すっかり園芸スペースと化している。

すぐ先にある日の出湯前の、懐かしいアイス自販機。下段手前の茶色い蓋はバニラブルー。

ここで猫を何匹も見た。堀切は猫が多いが、この界隈は特に多く出入りしている印象だ。

堀切四季の道に回り込む。手前の低いモニュメントは橋名が刻まれているが遺構はなく、名称も「千鳥四橋」などでいまいち味気ない(むしろ(後づけでなければ)よく橋に名前があったものだ、とも思うが)。また、ここに限らず葛飾のほぼすべての水路跡の緑道には説明板などもまったくなく、それが葛飾らしさとも言える。


その2(宝町・立石)に続きます。


企画・製作・執筆 志歌寿ケイト

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