屋内から出ないで散策する実験的企画「屋内から出な散歩」を行いました。
何と言ってもこの時期の街歩きは辛いものがあり、
散策企画も立てづらいものです。
そこで、少しでも涼しく散策できないかと、
東京駅周辺の地下・屋内のみを散策しようという試みです。
ただ、私もこの地域の地下にそれほど馴染みはなく、
3回も下見を行わなくては把握できませんでした(一応、全ての出入口を見て回りました)。
それくらい、地下も奥深いのですね。
幸い、当日はこれまででいちばん多くの参加者が集まりました。
当日の写真を消失してしまったので、下見時の写真ですがご覧ください。
スタートは東銀座駅の築地方面改札。ここは南海東京ビルに接続しています。
歌舞伎座の地下・木挽町広場(写真上)ではおみやげ品が買えるほか、
コンビニなどもあり便利です。ここももちろん地下道直結です。
東銀座駅と銀座駅との間は、
干支をモチーフにした石像が並べられた銀座地下歩道で結ばれています。
これは地下鉄の通路ではなく、別個に東京都が整備したもののようです。
旧三原橋(三十間堀川)のくぼみも体感的にわかります
(東銀座寄り、いったん少しだけ下っているところ)。
壁面はギャラリーとしても使われているようです。
銀座といえば三越・松屋・和光などのデパートですが、
地下にも各デパートのディスプレイがあります。
地上の大きなものとは違い、こじんまりとしていて見やすいです。
値段もさすがですが・・・。
松屋銀座の地下入口手前には、銀座共同溝が覗ける一角があります
(写真は引いていますが、小階段があり、登ってガラス窓のところまでいけます)。
ここは案外知られていないようで、参加者の受けも良かったように思います。
当時は共同溝というのはまだ日本では馴染みが薄かったのでしょう。
銀座駅や日比谷駅は多数のビルと地下道が直結しています。
ビル敷地の下にあたる部分はそれぞれ個性があり、
下の写真はアルマーニがある不二越ビルの地下通路です。
地下通路としては非常にかっこいいですね。
浅草-上野、のちの銀座線は東京で初めての地下鉄路線でもあります。
ということで、銀座駅には地下鉄の父・早川徳次像が設置されています。
英国を視察し早くから地下鉄の必要性を見抜き、
自分で資金を集めて東京地下鉄道株式会社を設立しました。
この写真下のステンドグラスは「楽園」というタイトルで、平山郁夫作。
当日はこの前でイベントが行われていました。
銀座から日比谷・有楽町へと進んでいきます。
電気ビルヂングのほか、西銀座デパートや銀座ファイブなど、
各商業施設やビルと行き来できます。調べると意外と直結するビルは多く、
この駅と商業ビルの接続アイデアも早川氏によるもののようです。
美松百貨店の跡地に建つ、日比谷マリンビル(旧朝日生命日比谷ビル)。
地下に唐突にあるこの装飾は食堂やキャバレーとして使われていた遺構でしょうか。
特に説明などはないのですが・・・。
駅によくあるこうしたカレンダーも、よく見るとレトロですね。
サイン類もまだ昭和感のあるものが残っています。
日比谷は元々海だったところでもあります。
東京駅近辺の地下道もいたるところから漏水が見られます。
金属のカバーはそうした補修跡のようで、水音が聞こえたりもします。
排水路は水が溢れたり逆流したりしないよう、
細かい補修がされている場合もあり、流路も地上の水路より複雑です。
日比谷駅から北、皇居前の二重橋前駅方面に向かいます。
帝劇ビルと国際ビルは互いに地下道から出入りできるだけでなく、
ビル下の地下街同士が接続しています。
つまり、ここは地下鉄の地下道を通らないことも可能なわけです。
ただ地下道を行くだけでなく、こうした別ルートを見つけるのも面白いと思います。
写真をなくしましたが、明治生命館で一休み。
もちろん時間があれば屋外に出ることなく見学もできます。
さらに北へ出ると、大手町駅となります。
大手町の地下道もまた複雑で、通勤経験がないと把握が難しい場所です。
銀座駅から東京駅を経ることなく、地下だけで大手町駅まで抜けられるというのも、
よく考えると不思議な感覚かもしれません。
上はパレスビルへの通路で、三菱の事業が独特の絵で表現されています。
全体に真新しい造りで、地上出口手前にはタッチパネルの周辺案内もあります。
下は経団連ビル・JAビル・日経ビル方面の通路です。
ここが通路全体で一番北にあたり、
屋内だけを経由して竹橋駅の近くまで行くことが出来ます。
大手町には唐突にガチャガチャがある通路があります。
この日は土曜で誰もいないですが、平日はけっこう大人に人気なようです。
オフィス街にこんな一角があるというのも楽しいですね。
ガチャガチャのある通路と平行するのが、大手町ビルの地下街。
ここも平日はかなり賑やかですが、土日はほとんど閉まっています。
どの通路もそうですが、地域柄、本領を発揮するのは平日なんですね。
大手町でもかなりひっそりとした地下道が、大手町野村ビルの通路。
丸ノ内線と東西線を結んでいますが、階段が避けられず、
現在はオーテモリの通路が主流であるため、人が少ないようです。
その通路の途中に地下駐車場の出入り口があり、その脇にはレトロなポストがあります。
休日はやっていないようですが、まだ現役です。
大手町から東京駅へのルートはいくつかありますが、
一番西側を行きたいと思います。
再開発で解体が決まっている日本ビル。
通路の広い地下街があり、けっこうまだいけるのではという感じの商業施設ですが、
店が抜け始めていました。自販機スペースで一休みしました。
東京駅一番街へ出ると、これまでと打って変わってものすごい人。
とても散策という雰囲気ではないためそそくさと通り抜けて、八重洲地下街へ。
そこにあるヤン・ヨーステンの像(八重洲の由来となった)は独特な表情で、
写真を撮っている人がちらほらいました。
八重洲地下街は日本で二番目の売り場面積を誇る地下街で、
東京では最大です。休憩スペースも充実しています。
八重洲にもダイヤ八重洲ビルと住友生命八重洲ビルの間に別ルートがあり、
ギャラリーや自販機スペースとして使われています。
八重洲地下街からグランアージュの狭い地下街を抜けていき、京葉線方面へ。
京葉線通路にはわりと近年公開されたR.T.O(進駐軍鉄道事務所)レリーフがあります。
ここも土曜とあってあまり通行人や見物人がいないのですが、
地下通路にあるものとしてはかなり大きく見応えありです。
有楽町駅へと戻っていきます。
東京駅と有楽町駅を結ぶ通路といえば、東京国際フォーラム。
ここの1階には太田道灌像があります。
もとは東京都庁があったところで、その歴史を展示したパネルもあります。
もちろん各種イベントや相田みつを美術館もありますよ。
交通会館を抜けて、解散地点は有楽町地下広場です。
南町奉行所の穴蔵が展示されています。
まだ他にもいろいろと見どころはあるのですが(店はほとんど見ていません)、
これだけ見るのにもかなり距離と時間がかかるくらいなのです・・・。
当初思ったよりも、地下は侮れませんでした。
私自身も、まだまだ歩いて知っていきたいテーマです。
1-2年後にまた企画できればと思いますのでお楽しみに!
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