「みなとまち羽田 海と空の港を歩く」レポート


東京散歩革命シリーズ
「みなとまち羽田 海と空の港を歩く」
実施日:2015年9月13日

羽田は東京の街のなかでも個性的と言え、
その成り立ちから戦争を経ての変遷はもちろん、
現在の景観も東京のどことも違う雰囲気を持っていると思います。

そんな羽田の街を丁寧に観察しつつ、
羽田空港国内線ターミナルまで徒歩で行ってしまおうという企画です。

※例によって写真の大半は下見の時のものです。

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スタートは京急空港線・穴守稲荷駅。
駅前は歩行者用の広場のようになっていて、
ある建物は店の名前がすべて「駅前」になっていて面白い。


商店街を通って、穴守稲荷神社の西側の参道に入ってみる。
穴守稲荷は元は現在の空港敷地にあり、温泉や置屋のある行楽地だった。
戦後GHQによって全住民が強制退去となり現在地に移転。
参道には料理店やホテルがあり、もしかすると行楽地であった頃の経営者が
ここに移ったあと商売をした名残かもしれない。
わずかにおみやげ品も売られていた。


鳥居が多いのもこの地域の特徴。
駅の入口にも、参道にも。


銭湯も寺院よりは神社風(というか模したよう)に見える。
また、銭湯が多いのは漁をしていた港町にはよく見られる特徴でもある。


羽田商栄会の商店街街灯のある通りは、ひときわレトロ感がある。
元漁師の一族が経営するという「さかなや」という屋号の店・建物がいくつか建つ。


小学校をぐるりと回りこんで、弥五右エ門稲荷。
私設っぽい小さなお社である。3連の鳥居。


六間堀の交差点から、高速の下を南下。
高速下は親水公園風になっているが、この部分自体は六間堀ではない。
堀は交差点の北側まで・・・ややこしい。


高速の両側はちょっとした生活商業地になっている。
古い店舗建物や、庭が立派だという銭湯もある。
このあたりは宅地を潰して高速を作ったと思われるが、
その後どうして両側が商業地化したのか・・・。成り立ちが想像しづらい一帯。


産業道路へ出た。
大きめのお寺や神社はこの道路沿いに並んでいる。


羽田神社はひらけた雰囲気の明るい神社だが、奥には鬱蒼とした富士塚が。
全体には穴守稲荷と近いくらいの規模はある。


旧羽田猟師町の中心街路を経て、いよいよ海辺、正確には多摩川べりに出る。
ここから東、海老取川との分岐まで煉瓦の旧堤防がずっと続いている。


高速の近くには、羽田の渡しの石碑や旧大師橋の遺構もある。



ちょっと岸を離れて、鴎稲荷神社へ。
ここは井戸と羽田道の石碑が建つ。こじんまりとした町内のお社という感じ。
昔から続くような漁師町によくある細い路地も多い。


このあたり、いたるところで猫も見かけた。

ふたたび多摩川べりに戻り、川崎側にある中洲を観察。
通称ねずみ島と呼ばれる私有地で、
河川改修時に国に売却を拒んだ梨畑のひとつだったそうだ。
現在は野鳥がたむろしている。低木は畑の名残だろうか。


東に進むと、水神社(左)と玉川弁財天(右)がある。
弁財天は穴守稲荷と同じく現空港の位置より移転してきたもので、
横にはちゃんと弁天池が設置されている。


海老取川と多摩川の出会う岬のようなところは五十間鼻と呼ばれている。
震災や戦災の犠牲者を弔う無縁仏堂がある。


少し北の弁天橋側にある、白魚稲荷神社。
このようなお社が多いのも古い港町っぽいところか。


海老取川は釣り客で賑わっていた。
その川べりの堤防脇には駅前地蔵尊のお堂がある。
駅前とは、旧羽田空港駅のことだろうか。


現在は地下に線路があり、駅も天空橋駅に移転された旧羽田空港駅の場所は、
駐車場になっている。特に遺構は見当たらない。


名前はすごいけれど実際は細い人道橋である天空橋を渡って、
いよいよ羽田空港へ。
旧穴守稲荷にあり長年移設できなかった鳥居は、弁天橋近くにある。


鳥居の東側の空き地は史跡・鈴木新田跡で、
道路側でなくてもここを通りぬけていくこともできる。
空港の沖合移転により、天空橋あたりの旧空港用地は再開発される予定。


強制移転時に植えられ、近年の台風で倒れたハンノキの移植場所。
ものすごく地味だが一応入れるようになっている。


空港二丁目交差点で北へ折れて、国際線ターミナルへ到着。


ちなみに空港二丁目交差点近くには羽田空港船着場もある。
台場と横浜へ定期便が1本ずつあるほか、クルーズ船の発着にも使われている。
実はこの歩行の翌週に秋葉原までの運河クルーズに行った


国際線からまっすぐに伸びる新しいトンネルは歩道がなく立ち入れないため、
ひたすら環八通りを東に進んで、こちらの古いトンネルに入る。
ここを通る自動車はいまや稀で、ガラガラである。
トンネルの上り線・下り線とも歩道があるのだが、
国際線からの道が交わる交差点であらかじめ北側(空港方向)の歩道を選ばないと、
ずっと渡ることができず遠回りになるようだ。


整備場を経由して、無事に国内線ターミナルに到着した。
こちらは第一ビル前。


第二ビルへも、地上の羽田スカイアーチを経由して行くことができる。


第二ビルのデッキがゴール。
国内線ターミナルは商業施設としても利用されていて、
人が多かったが、徒歩で行く人はまずいないだろう。
また、自転車を停める場所は基本的になく、
路上駐輪や高架下などへの駐輪が見受けられた。


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ということで、距離はやや長かったですが、歩ききりました。
空港と言っても道路に関しては比較的警備は厳重ではなく、
一度くらいは歩いてみても楽しいと思います。

また羽田の町は位置的にもどん詰まりのようなところにあり、
レトロであったり長閑であったりと、
ちょっと変わった東京が楽しめるのではないでしょうか。



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