「八王子 とっておきの谷戸」レポートその1

東京散歩革命シリーズ「八王子 とっておきの谷戸 -散策家を育んだ土地を巡る-」
実施日 2016年4月24日(日)

※このページはレポートその1です。その2はこちらです。

タイトルの通り、八王子での開催です。「東京散歩革命」シリーズにおいて東京23区外(多摩地域)での散策会は初めてとなります。

今回は「自伝的散策会」として、以前住んでいた東京都八王子市打越町近辺の水路・川跡を巡りつつ、散策家としての私がどう散策を好きになっていったか、またどんな土地なら散策が好きになりそうか……そんなことを紹介する回です。

レポートとはいえ、水路写真はスイロット・アンキョに以前載せたふざけた特集記事のものと大差ありませんが、とにかくごらんください。


※例によって下見時の写真が大半ですのでご了承ください。

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八王子の東の玄関口・京王線北野駅に集合して出発。目の前にあるのが湯殿川。今回はこの湯殿川と、その支流・兵衛川の脇にある谷戸を追っていく。

まずはこの打越川。野猿街道・北野街道の合流点付近から南に入る。

野猿街道の新道(まっすぐなほう)と旧新道(バス本数が多いほう)の間を流れる。本当の旧道はその間の道である。

上流部では水路敷に比べて水面が狭くなり、谷も深くなる。

こうした脇水路も見逃せない。基本的には山からの浸出水が多い地域なので、住宅間の排水路もよく見られる。

野猿街道旧新道の、その名も「多摩丘陵」交差点付近からの眺め。途中で2本に分かれたうちの東側はここで終わってしまう。本来はもっとこちら側まで谷だったのだろう。

もう1本を追って、西側の道に入る。このあたりの旧小字は柳入と呼ばれる。早速、山からの水が流れている場所が。と言っても、幅が200メートルそこそこしかない山であるが。

これは住宅間の水路。ひとつ上の写真のような状態の場所を宅地開発するとこうなる。天候のせいもあるが、けっこう水が出ているのがわかる。


 こちらが本流。右側は以前は崩れそうな柵があるのみだったが直されていた。

こちらはやや細い支流。この地域によく見られる梁のあるコンクリート3面張り水路となる。

支流はこの妙なゴリラしかいない公園(柳入公園)のあたりで暗渠になる。その先は片倉台の住宅が開発されて谷自体消えているが、おそらく遊水地に繋がっている。渦巻きなのはまいまいず井戸を表している・・・わけではない(と思う)。

このあたりの谷戸の良いところは、行き止まりにならずに上の住宅地等と行き来ができるという点である。鎌倉などのように本当に谷戸の谷頭までそのままの形で開発してしまうと必然的に行き止まりになり閉鎖的になってしまうが、ここはある程度谷を潰しているのでこうした抜け道的な小径があちこちにある。小一時間、ぐるりと歩いて戻ってこられるので散策に非常に向いているのだ。

片倉台のやまやの駐車場から見える、唯一手付かずの谷戸。昔は耕作していたものと思われる。これ自体が貴重であるが、そもそもこの地点から眺められるというのが変わっている。本来、谷戸で宙に浮かばなければ見られない視点だ。

打越川の本流は側道がないため追えないのだが、この寂れた大きな遊水地に繋がっている。片倉台の住宅地の雨水量が多い時には上流側の遊水地からここに流れ込んでくるようである。ここから上流は元々の形跡がないため追わないことにする。

今度はこちら。湯殿川すぐ近くで打越川と合流するのがこの中谷戸の水路である。下流部は暗渠になっている。

この蓋暗渠沿いの道路は見ての通り谷筋に昔から存在するもの。ここは通勤などで湯殿川方向に降りる時によく使った。八王子バイパス沿いの歩道も歩けるのだが、急いでなければこちらを好んで使った。

ここだけは道路から離れて住宅裏に回っている。左は大きなマンション。

それを抜けるとかなり鬱蒼としてくる。こちらの道から自宅に人を案内するとちょっと怖がれたりした。右側の茂みは八王子バイパスであり、このあたりからは人工的な流れであろう。このあたり、無駄に道路が広く暗渠も空き地のようであったため昔は放置自動車が多かったが、囲いや移動式ガードレールが設置されて減った。

八王子バイパスを潜るガードというかトンネル。バイパスは中谷戸の谷に沿って、宅地や川を一部潰して造られている。私はこれを直進して急坂を登ったところにあるアパートに住んでいた。

ひとつ上の写真の左手の様子。打越川の谷の反対側もこのように水が滲み出ている。航空写真で見るとわかるが、壁の向こうは谷戸をまるまる占領して廃棄物のようなものが置かれている。

中谷戸の入口に「打越弁財天入口」というバス停があるが、これがその弁財天である。先程のバイパスと廃棄物置き場のような土地に囲まれているが、ひらけた場所にありこちら側は木々が残されている。この池は自然河川とは関係がないと思われる。


一応私の住んでいたアパート近くまで行ったが省略。中谷戸の水路は、しばらくはバイパス沿いに開渠で流れる。このあたりの集落が中谷戸である。そして水路は再びバイパスを潜る。

ちょっと入るのをためらってしまうような道だが、歩きなら「いしばしいり(石橋入)緑地」という公園に抜けられるのでご安心を。ここは今も耕作されているので、谷戸田の名残が味わえる。

公園入口の湧水。湧水受けにカップ酒の容器(多分)を使うのはなぜだろうか。そもそも、湧水受けって必要なんだろうか。余計な成分が沈殿するとか?

ここが中谷戸の水源地とも言える、公園内の池。先程の大きい遊水地もそうだが、住宅側からの水が茶色い。これでも若干マシになったのだが。

どの水路もかつてはもっと片倉台の住宅内まで谷が細く長く続いていた。今昔マップなどで確認ができる。


その2に続く



企画・製作・執筆 志歌寿ケイト

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